入院生活DVD鑑賞日記(仮)2 『テッド2』  セス・マクファーレン監督

投稿日: カテゴリー: critic, 入院生活DVD鑑賞日記, 渥美

 実はわたし、13年に公開された『テッド』はDVDで鑑賞したのみなうえ、その内容に非常に怒りを覚えたのです。

 人格を持ったテディベア・テッドとその持ち主の冴えないサラリーマン・ジョン(マーク・ウォールバーグ)。クマのぬいぐるみという可愛いビジュアルに反して、暴力的で下品でマリファナア大好きというギャップが日本でも大いに受けて、大ブームとなりました。下ネタや過激なブラックジョークはわたしの大好きな分野であるので、ゲラゲラ笑いながら見られる部分もいっぱいあったのですが(ちなみに、本作でテッドの声は監督本人が担当していますが、有吉弘行が演じている日本語吹き替え版も悪くない)、どうしても解せなかったのは、主人公ジョンが、恋人に「わたしかテッドかどっちか選んで!」という無茶振りを突きつけられ、その後ひょんなことから誘拐事件に巻き込まれたテッドが一時は命を失ったかと思うと助かったところで、最終的に彼女もテッドも自分の手元に戻ってめでたしめでたし、で終わってしまうところです。彼が彼女にそんな無理難題を押し付けられたのは自分のガキっぽいミスのせいなのに、結局はそれを反省することもなくハッピーエンドを迎えるストーリーが、ただボクちんの自分勝手なオタク性質(厨二病=制作者の趣味)を甘やかしてる風にしか見えなかったところです。

 

 なので、2のDVDもあまり乗り気がしないまま病室で鑑賞してみたのですが、これがなかなかの秀作でした(ネタバレ(?)あり、しかし前作を見てないとわからないネタもあり)

 前作との彼女と離婚したらしいジョンと裏腹に、映画はテッドと同僚のビッチとの結婚式から始まります。テディベアと人間の結婚式、とはなんとも不思議な感じですが(往年のハリウッド映画を彷彿とさせるオープニングのダンスシーンは一見の価値あり)、もちろんみんな幸せそう。しかし1年後、ふたりは人間の夫婦と同じように喧嘩が絶えない倦怠期を迎えます。

 そんな状況をなんとか打破しようと考えたテッドは、その解決法に「子どもを作る」ことを思いつき、そしてジョンに精子提供を依頼するも、妻の身体的理由(クスリのやり過ぎ)により断念。最終的に養子縁組という選択を試みるのですが、そこでお役所から「テッドはあくまでぬいぐるみであり、人間ではない。〈所有物〉だ」という判断を受け、人権を剥奪(働く権利や銀行口座を持つことを禁止されてしまう)されるのです。

 もちろん納得のいかないジョンとテッドは、サマンサ(アマンダ・セイフランド、もちろん最終的にジョンと結ばれる)という新人女性弁護士と共に、裁判を起こし、戦うことを選びます。

 

 この、「テッド(くまのぬいぐるみ)は人間なのか/所有物なのか」という問題は、非常に難題です。もちろん映画の中の架空のキャラクターである以上、それを言っちゃあおしまいよという、冷静な大人の事情は通用しない展開です。そこで、この映画はどう解決したか。

 

 テッドを取り巻く人たちは、ジョンや妻を始め、テッドを愛しています。そして、テッドもその愛を受け止め、みんなを愛しています。その「心」の存在が、人間を人間たらしめてるとして、テッドの人権を主張するのです。口は悪くても、周囲の人間と対等な関係を保てるテッドは、人格を持った立派な人間として認められるべきだと。

 さらには、奴隷解放運動を引き合いに出し、当時黒人が「所有物」として扱われていた事実から、同じ失敗を繰り返さないようにと諭すのです(その役目を果たす弁護士を演じるのがモーガン・フリーマンというのもどこまでジョークか微妙ですが……)。ふざけた映画のようで、ここでも前回取り上げた『ラブ&ドラッグ』同様、目に見えない(=映画には映らない)「愛」という存在を信じて、わたしたちに訴えるものがあるのではないでしょうか。

 

 その合間に起こる、前作から続くテッドのストーカーによる誘拐事件も、これ以上ストーリー上のネタを増やして映画を引っ張るのはちょっとキツイなと思ってるところ、ほどよく絡んでくる程度で、そのバランスも秀逸。

 

 と、ここまでの話だと、だいたい90分程度の映画で収まりそうなのですが、この作品は2時間近くあります。なぜかというと、とにかく意味のないおバカシーンが盛りだくさん過ぎて(意味不明なリーアム・ニーソンやトム・ブレイディのカメオ出演)長くなったとしか思えないのですが、それもこの映画の大きな魅力として楽しめます。無駄なシーンのない映画なんてつまらないですから。焚き火の前でアコースティックギターを弾きながらサマンサがラブソングを歌う無駄なシーンは、ちょっとうるっとさえさせられたり(個人的に好きだったのは「若手芸人いじめ」のネタです。是非本編を見て確認してみてください)。